職員が利用者をサポートする場面で、“何をどのようにサポートする”のかを「24時間シート」を確認しながら行動する場合、そのサポートではどのような手順とリスクがあり、リスクの回避のためにすべきことが何であるかが分かる仕組みが必要です。

利用者自ら出来る行為であっても見守り的介護としてのサポートは必要なので、この場合にも正しい介護手順とリスク回避のために必要な正しい介護手順が分かるようにしておくことが大切です。

リスクには、利用者個々に基づくものとその状況に予測される一般的リスクの両者がありますので、利用者個々に必要な手順やリスク回避の注意点の書き込みが出来るようにしておくと利便性が高まります。

例えば、

【日課】 :歯磨き
【自分でできること】 :車いすで洗面台に行くことはできる
   洗面台に向かっての歯磨きは自分でできる
【サポートが必要なこと】 :ベッドから車いすへの移乗はサポートして欲しい

との記載が「24時間シート」にあった場合、

  • 『ベッドから車いすへの移乗』の介護
  • 『洗面台までの車いす自走』
  • 『歯磨き』の際の見守り

において、リスク回避のために注意すべきことには一般的なものと利用者個別なものがありますので、それらの情報をその都度目に入るよう仕組まれていることが望まれます。しかし、一枚の用紙や画面の中で表すにはスペース的な制約があり、不十分な情報となるのでシステム的な工夫が必要になります。

「24時間シート」にはデマンドの要素が入っているのが特徴で、デマンドに対しては介護者側が一般的にリスク対応している以上に高いリスクが多々あります。例えば、食事は調理後2時間を経過したものを提供しないようにして食中毒のリスク発生を防ぐよう施設の決まりごとではなっていても、利用者のデマンドによって“自分は昼食と一緒に出された食後デザートはおやつの時に一緒に食べたい”という希望があれば、「24時間シート」の中で対応することがあります。しかし、デザートの種類によっては時間を置くと食中毒のリスクが高まるものもあります。このような場合には、冷蔵庫に保管し、消費期限の時間を表示しておくなどの対応が必要になります。こうした例に限らず、利用者の自由度を高め、自立を促すほどリスクは高まります。

本来、事故を無くすことがケアやサポートの目的ではなく、結果として事故に至った場合であってもその過程においてプロとしてのリスクの予見や、予見されたリスクに対しての十分な注意が払われたかどうかが大切なのです。

「24時間シート」が、

  • ①入居者自身の意志によって普通の生活を介護施設で実現させたいとの思いや、
  • ②入居者が自由に自分らしく暮らすこと、
  • ③そのために入居者一人ひとりのことを十分把握したうえで、必要に応じてサポートすること、
  • ④そして、一人ひとりの望む暮らしの情報を職員が共有し、介護者による差の無い介護ができるよう
       周知徹底していくこと

に役立つようにとの思いで作成されるのであれば、リスク回避のために必要な正しい介護手順がシートの中で見ることが出来るようにしておかなければなりません。

自由度
自立
リスクの増大 リスクの予測 リスクへの対処
正しい手順

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